2010/10/24

人面鳥との遭遇

床下に潜りこんで配線作業。このような見えない場所の作業を、自分の手で行う事は大切だと思うのです。見えないだけに、工事業者に愛情と美意識を持った作業を期待することは出来ませんから。暗くて狭い床下で、探検隊気分に浸りながらの作業です。新築中だけに予期せぬ生物と遭遇することは無く、ちょいと物足りません。
ところが、日が暮れて片付けをしていると、バサバサと大きな鳥(広げた羽は1.5Mはあったでしょうか)が虫達の飛び交う作業灯の前を横切ったのです。驚きながらも目で追うと、近くの木に留まったその鳥には、人間の顔がついているです。大きな顔で瞬きもせずにこちらを見るのです。人面鳥!公家のように平たい白い顔。口元に虫の羽。
なんだか、つまらぬ苦労が吹き飛んだような
気がします。

2010/10/17

崖を登るor金で買う

天然松茸を収穫(山中でなく隣人宅にて)!今回は同行を逃がしたが、秘密の採取場所は、崖斜面をいくつも越えた危険な山奥にあるという。途中、熊や猪に出くわすことも珍しくない、道なきサバイバル登山。ハイテクグッズで身を固めた流行りの山ガール&ボーイとは大いに違うのです。
この日本で最も珍重されるキノコは、香り、味、歯応え、さすがに最強である。まずは、松茸ご飯にしてみた。松茸の汚れを、筆で丁寧に落とす。もち米(新米)に塩と酒を少々、裂いた松茸を入れて、土鍋で炊く。それだけ。出汁や醤油等を入れて松茸の風味を濁してはいけない。艶やかな白い米に松茸のページュ色が点在している様がいい。これを日本酒(清らかな辛口がいい)と共に頂く。
今晩は焼き松茸、明日は土瓶蒸し。

2010/10/16

メンテナンスの必要なプロダクト(=使い捨てじゃないプロダクト)

檜&杉板が混在する素地表し仕上げの軒下、破風板、に防腐塗料を塗布。上向きでの作業なので、首の筋肉が鍛えられます。
浸透性の塗料の吸い込み具合は、板毎に大きく違います。均一でない自然素材の個性を感じて気持ちいいのです。硬くて、油分があって、ちっとも塗料が浸透しない赤い板、これは耐久性の高い信頼出来る板なのです。一方、やわらかくて、きれいな、いくらでも塗料を吸い込む白い板、こいつらには、たっぷりと塗料を吸わせてやらないといけません。節抜けがあれば、虫が住み着かぬようパテで埋めてやります。板の個性を感じながら、一枚一枚塗料を塗っているとあっという間に日が暮れてしまうのです。
新建材を使ったハウスメーカーの家が主流の日本では、家のペンキ塗りを自分でするという習慣はありません(海外では良く見かける日常風景なのに)。家の状態を把握し、家に対して愛着が湧いてくる、ペンキ塗りのようなメンテナンス作業を自ら行うことは、とても大切だと思うのです。メンテナンス、修理を繰り返し、大切に使われた家は、古くなっても味わい深いものです。
フリーメンテナンス(メンテナンス不要=壊れたら買い換え)という近年の量産製品にみられる概念には共感出来ないのです。

2010/10/11

柳茸は倒木味(ややゆる)

倒れた柳の木に出るこのキノコ、柳茸というらしい。10-15cm程の大きさで、なめこのようにニュルっとしている。オレンジ色の丸みを帯びた傘に斑点という容姿は、よく絵本で見かける典型的なキノコの姿である。きのこ図鑑、インターネット、地元の老人、をあたって毒性の無い事を確認。
まずは焼いて醤油で食べてみる、繊細というよりは倒木の味、だが肉厚で旨い。天婦羅にして塩で食べてみる、ややシットリとしてしまう。天婦羅を出汁で食べてみる、やや胞子っぽい(粉っぽいのとはちょっと違い、胞子っぽいのである)。味噌汁に入れてみる、大味で巨大なナメコ、繊細さは無い。
「柳茸: 香り無し、倒木の味、肉厚、柔らか、ややニュル、胞子っぽい、可食(ややゆる)。」と記録。味噌煮込みうどんや豚汁等の大味な料理にあいそうである。
翌朝、便がゆるかった(Sorry Ladys!)が柳茸のせいかどうかは定かでない。

2010/10/07

廃れない理由

大工作業用に足袋を新調したのです。甲の辺りまでラバーコーティングが施されており指先が補強されている、多少の防水性があり丈夫そうな足袋を選んだのです。黒と紺のコンビネーションも気に入ったのです。
ところが、棟梁曰く、これはどうやら土の上を歩く農家用の足袋だそうです。確かに、棟梁は白い清潔な足袋を履いているのだが、自慢げな話を聞くと、その足袋はソールにエアーが入っていて、アスファルトを歩いても疲れない、本来は祭り用の足袋だという?
足袋は、コハゼという爪型の金物で止める。これが慣れないと結構、面倒なのです。なんで、今時こんな面倒な仕様のままなのかと棟梁に問うと、今度は納得の回答。コハゼには、爪を差し込むスリットが3列並んでいて、この列を変えることによって締め付け具合を調整出来るのです。紐よりも容易で、ジッパーにはない調節機能を持ち、ベルクロより古くから愛用されている、優れたローテク留め具であったのです。